企業内診断士Rのブログ

診断士登録7年目。企業で働く中小企業診断士のブログ。

経営法務を少しでも身近に感じるために①

診断士Rです。

 

一次試験の中でも特にとっつきにくいと言われている経営法務ですが、私が受験生の時も結局何が何やらわからぬまま終わった記憶があります。実際、診断士試験で勉強する程度のレベルの知識で実務の経営法務の相談に乗るのはまず不可能ですし、あとで揉める可能性が少しでもあるなら確実に専門家に相談するべきです。

個人的には、現行の試験内容を見直すつもりがないなら、経済学・経営情報システム辺りと「経営基礎教養」みたいな感じで纏めたらどうかと思いますけどね。もっとも、経営情報システムに関しては、以前の記事にも書いた通り、逆に充実させた方が良いというのが私の意見です。

bluelart.hatenablog.jp

 

さて、そんな経営法務に関して、少しでも受験生の方のモチベーションを喚起することを念頭に記事を書いてみたいと思います。経営法務の試験がとっつきにくいのは、ある程度体系的に学習しなければ捉えにくい法律概念(特に民法・商法)を、全体感を示さぬままに中途半端に適用の場面だけ勉強するからではないかな、と個人的には感じています。逆に言えば、まず先に全体感を捉えた上で、具体的な場面を想像できるような勉強をしていくと、一気に身近に感じられ、知識も活きたものになる、と思っています。

 

このブログでは、商法を例に、その辺りを試みてみたいと思います。

 

診断士試験では、民法の契約に関する出題がされると記憶しています。基本的に我が国では、私人間の債権債務の効力の要件は民法で規定されています。一方で、民法上の要件を反復継続して行われるような営業活動にそのまま適用すると、効果に対して過大なコスト・時間がかかってしまいます。それを防ぐために、法律で「商行為」の範囲を定義し、その行為においては民法の規定を緩和した規定を定めて適用することで、取引の円滑化を図っていこうというのが、商法の趣旨です

例えば、商売には得てして誰かの代わりに何らかの行為をしてお金を貰うというものが多いですが、民法の規定を厳密に適用すると、商人はその行為を誰々さんの為にしますよ、と毎度毎度明示しないと行為の効力が生じません。が、継続取引においてとてもそんなことをしている時間もなければ、さして意味もないので、商法では民法の規定を緩和して、誰々さんの為にしますよ、ということを明示しなくても当然に行為の効力が生じるとしています(これを法律用語で言えば、非顕名主義といいます)。

なお、容易に想像できるように、商売というのはある程度の規模になってくると法人として実施した方が何かと便利です。営利を目的とする法人(=会社)を設立して商売をするための規定が「会社法で、元々は商法の一部分だったものを平成17年に独立させたものです。また、会社と資金調達とは切っても切れない関係にあり、市場で資金調達を行う為には一定のルールが不可欠です。そのルールを整備するために、会社法の特別法として、金融商品取引法といった法律が整備されています。

 

さて、まずは上記のように法律体系の全体感を掴むだけでも随分見通しが良くなるのではないでしょうか。長くなりそうなので、「具体的な場面を想像できるような内容」はまた後日に記載していこうと思います。なお、診断士にとっても重要な業界の一つであり、今もHOTな議論が展開されている「運送営業」について書いてみようと思います。

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