企業内診断士の実情~理論と実践②・データベース理論
診断士Rです。
本日は企業内診断士の実情として、企業内診断士にとって診断士資格がどのように役に立っているかの第二回です。前回記事は下記を参照ください。
今回は、「経営情報システム」について書きます。中小企業にとっては非常にニーズの高いところである一方、対応できる支援機関が少ないことが課題であり、そのことは中小企業白書でも明らかにされています。その割には、診断士一次試験の経営情報システムの内容は一般教養といったレベル感なので、時代に即してもう少し内容を充実させた方が良いと個人的には感じます。
一口にシステムといっても色々な分野がありますが、私が最も役に立つ分野だと考えるのは、データベース理論です。E-R図や正規化、SQL言語といったキーワードは、受験生の方にとっても馴染みがあるかと思います。
企業において、一般管理系と言われるシステムは、その殆どが「関係データベース」の構造を取っているはずです。「関係データベース」とは、複数のデータベースがキーによって結合されているもので、例えば受注処理・納品、売掛請求・代金回収等に係る伝票処理を一元化し、帳簿と同期して管理するといったものが想像し易いと思いますが、それ以外にも購買や原価計算、工場の生産管理等の多くの管理業務は、紐解いていけば関係データベースの操作に他ならない、と言えます。
私も勤め先で一般管理系のシステム開発に携わった経験がありますが、基本的には業務をデータと操作の関係にまで徹底的に紐解いていき、それを関係データベースとして構造化していく、というプロセスになります。中小企業支援の場面においても、安価で優れた中小企業向けERPパッケージシステムやクラウドサービスは多く、データベースの知識があれば、個別のシステム・アプリケーションの仕様等も比較的容易に吸収していくことが可能なので、支援のオプションが広がり、大きな強みになると思います。システム導入まで至らずとも、例えば特定の業務用にExcelのスプレッドシートを作成する場合でも、データベース理論のモデルを意識して作成するかしないかで、使い勝手が全く異なってきます。
診断士資格は、その性格上必然的に、内的に整合した理論を体系的に学ぶ、というよりは、常に「実践」を前提としていることが大きな特徴です。全ての事項について実践をイメージするのは簡単ではないと思いますが、少しでもその一助になれば幸いです。